小説を読んだ後の感じ

僕は小説を読むのが好きです。読むペースには結構波があって、全然読まないときは本当に読まなかったりするんですが。

 

小説を読み終わった後に、特に自分が好きな小説のときに、胸が苦しくなるような、悲しいような気持ちになるんですよね。これって、周りの人に言っても共感されたことがなくて不思議でした。なんで、こんな気持ちになるのかということを自分なりに分析してみました。

 

まず、僕がなぜ、小説を読むことが好きなのかということを簡単に説明したいと思います。僕が、なぜ小説を読むことが好きなのか。これは、一言で言うなら「感情移入」です。小説の登場人物や世界観に感情移入をして自分以外の人生を追体験する。これが、僕は好きなんです。小説を読みながら、僕はよく自分がこの世界にいたらどうするだろうとか、僕が主人公だったらどうするだろうとか、そういうくだらないことを妄想しながら読むのが好きなんです。だから、僕は小説の登場人物は日本人の方が好きだし、設定もそこまでSF的な要素が強くないものの方が好きです。

 

小説を読みながら、感情移入をしているとどうなるか。小説を読み終わるのが、すごく嫌になるんですよね。だって、それは自分が妄想していることが終わるから。自分が妄想の世界の住民ではなく、現実世界に生きる凡人であることを思い出してしまうから。読み終わった後の悲しい感情はこういったことで発生するような気がします。

 

ちなみに、これは映画や漫画でも起こります。理由は小説と同じなんですが、「悲しさ」の大きさとしては小説を読み終わった後の方が大きいような気がします。これの理由もなんとなくわかります。小説がこの三つの中で唯一、視覚的な情報がないんですよね。なので、「妄想」をする余地が大きいです。その結果、自分の世界をつくり上げやすいことが理由な気がします。

 

なんだか、文章にしてみるとすごく暗いような感じになってしまいましたが、僕は、小説を読むことが好きです。読み終わった後の悲しい気持ちも「悲しい」とは書きましたが、純粋に「悲しい」というよりも、思いっきり泣いた後のすがすがしい気持ちに似ているような気がします。

 

あと、もう一つ。こういうことを書いていると、僕が感受性豊かな人間であるかのような感じがしますが、そんなことはない気がします。僕は自分の記憶する範囲では、小説や映画などで泣いたことがありません。感動はもちろんしますが、涙は出ません。これについて時々考えます。その結論は、たぶん僕は感情表現として涙を出さない人なのかなと思いましたが、部活の引退のときなど人生の要所要所で号泣しています。つまり、僕は自分のこととなると泣くことはありますが、小説を読み終わった後は泣きません。でも、僕は小説を読むとき、自分のことのように感情移入をして読んでいます。これって、どういうことなんでしょう。どや顔で、小説を読むとき、感情移入していますと書きましたが、実際、たいしてできていないのかもしれません。